【京都の老舗】江戸時代から続く箸専門店『市原平兵衛商店』で一生ものの箸を購入した:平安箸 白竹溜漆分
日本文化の一つであるお箸。
箸は旧石器時代(紀元前14000年頃)の日本にも存在していたといわれており、長い時間語り継がれ、進化し続けてきました。
2本の棒というシンプルな造形ですが、職人が作るか大量生産するかでは大きく異なっております。
- 機能性
- 口触り
- 丈夫さ
- 見た目
長さや細さ、重さ、形状など箸の良さを左右する要素は意外と多いです。
今回は江戸時代から続く京都の老舗 箸専門店『市原平兵衛商店』で購入したお箸についてレビューしたいと思います。
市原平兵衛商店について
創業は明和元年(1764年)。
宮廷御用達の御箸司(禁裏御用御箸司)を作ったのが始まりです。
使いやすさは人によって異なるということで店内には400種類もの箸が並んでいます。
自分の目で見て、触って、自分に合う箸を見つけて欲しいという願いを持っているとのことです。
自分に合う箸であれば、食事の所作も美しくなるでしょう。
市原平兵衛の中でも特に人気があるのが「みやこばし」という箸です。
これは、すす竹という築150年以上の家屋の梁などに使用されていた竹が囲炉裏やかまどの煙で燻され、丈夫で反り返りにくくなった竹を素材としているお箸です。
当然、箸先は創業250年の技術が詰まっており、細さと頑丈さを両立しています。
つまむ、割るといった扱いがし易いです。
値段は長さによって異なっており、以下の通りです。
「大」約23.0cm 6,000円(税抜)
「中」約22.0cm 5,000円(税抜)
「小」約19.5cm 4,400円(税抜)
平安箸 白竹溜漆分
市原平兵衛を訪れて、いろいろな箸を手に取ってみると1膳1膳に特徴があることを知りました。
訪れる前までは上記の「みやこばし」を買おうと考えていましたが、最終的に購入したのは「平安箸 白竹溜漆分」という箸でした。
この箸は触り心地がほかの箸とは比べ物になりませんでした。
持ち手部分の漆によって、手に吸い付いてくるようです。
材質は竹でできているのでとても軽く、漆との相乗効果によって、持っている感じがほとんどしない、体の一部になるような箸です。
漆について
持ち手部分の漆は溜漆と呼ばれる技法で、朱色で中塗りした上から、透き漆を塗っています。
色に奥行きが出て上品な仕上がりになります。
(普通の漆器は下塗・中塗に透き漆、上塗に朱色等の漆を塗ります。)
一方、箸先は木目調になっていますが、こちらにも漆が塗ってあります。
拭き漆という技法で、木地に透けた生漆を塗っては拭き取るという作業を4~5回繰り返し、漆を木地に刷り込んで仕上げます。
ちなみに、漆を塗っているのは、見た目をよくするためだけではありません。
大きく以下5つのメリットがあります。
- 抗菌性
- 酸性・アルカリ性に強い
- 防水性
- 防腐性
- 防虫性
特に抗菌性は大きなメリットです。
ある実験では、漆の上に菌(大腸菌やサルモネラ、腸炎ビブリオ等)を放置すると、
4時間後には金の半数が死滅し、24時間後にはゼロになっていたという結果を発表しています。
そのため、漆が塗ってある食器が原因で食中毒になる可能性は限りなくゼロに近いです。
箸先の繊細さについて
先に述べた通り、市原平兵衛の箸先は細さと頑丈さが両立しています。
上の画像を見ていただくと良く分かるかと思います。
左が市原平兵衛の箸、右が今まで私が使用していた箸です。
実際に使ってみるとこの太さの違いのすごさを感じることができます。
つまむ作業はほとんど苦労することがありません。焼き魚の小骨もすいすいと取り分けていくことができました。
最後に
私が購入した「平安箸 白竹溜漆分」の値段は¥7,600(税別)と決して安いものではありません。
ですが、大事に使えば数十年というスパンで使用することができる箸です。
また、今まで使用していた箸との違いは明らか。ものすごく感動することができると思いますので、ぜひ一度お店を訪れてみて下さい。